僕はいつも、昼食は学食で食べている。
お気に入りのメニューはかきあげうどん(280円)なのだが、
うどん・そばは週5日のうち火曜と木曜の二日間しか食べられない。
月・水・金はうどんではなくラーメンとメニューが決まっているのだ。
ある日、僕はいつものように情報科出身の友人たちと5人で学食に来ていた。
火・木は大体うどんを食べるのだが、今日は生憎ラーメンの日だった。
ラーメンにしようかカレーにしようか、僕は悩む。
体格のいいM田君はいつも購買の弁当を買って食べている。
せっかくなら暖かくて安い学食のメニューを食べればいいのにと思う。
M田君は元柔道部で体がとても大きいが、食事の量はごく普通のようだ。
「あれだろ、お前にとってはそれが前菜なんだろ」
と、同じくらい体格のいい友人Eヌマがからかう。
「テレビでタレントが言ってたけど、デブにとってはカレーって飲み物らしいな」
くだらない話題と、ささやかな笑いが学食のにぎやかな喧騒に紛れていく。
どこにでもある普通の、学生たちの昼食の一場面だった。
ところが、その日常は一瞬にして奪われる。
その時僕らは、少し離れた場所に珍しいものを見たのだ。

カレーとラーメン、2つ注文しなさってる!
僕らは息を呑んだ。あれはたしか電気科のK君だ。
そりゃ、たしかに学生の中には学食最高額を誇る究極のボリュームメニュー
「カツカレーの大盛り」(500円)をもってしても満腹にならないような
超体育会系の人もいるだろう。
しかし僕らをびっくりさせたのは、カレーとラーメンを同時に注文した
その彼が、別にそんな大食いには見えない普通の体格をしていたという事実である。
いや、気を急いてはならない。
別にカレーとラーメンを同じお盆に載せて運んでいたからと言って、
一人で両方食べるとは限らないじゃないか。
友達のために一緒に頼んであげたのかもしれな…

一人で両方食ってらっしゃる!
あまりに珍しい光景だったので、僕らは少し離れた席に座り、
さりげなく観察してみることにした。
始めに彼はラーメンを食べ始める。僕は震える声でEヌマに問いかけた。
「Eヌマ、“カレーは飲み物”ってのは、こういうことなのか…。
奴にとって今、カレーは飲み物的存在に過ぎないというのか!?」
しかしEヌマは言う。
「いや、待て! 奴の動きをよく見るんだ!」
見ると、ラーメンをあらかた食べ終えた彼は、今度はカレーをメインに食べ始めた。
今度は、まるで“ラーメンが飲み物”であるかのような状況だ。
20世紀初頭に出現し、それまでの古典的な世界観を大きく変えた
量子力学の理論にひとつに、「光の二重性」というものがある。
これは、ひとつの「光」という存在が、ある時は「波動」の性質を見せ、
ある時は「粒子」の性質を見せるというものだ。
今僕らが見ている現象も、これと同じようなことなのかもしれない。
「Eヌマ…、僕らは、とんでもない発見をしてしまったのかもしれない。」
「言うなれば、光の二重性ならぬ、カレーとラーメンの二重性、だな…。」
「おいおい、これは世紀の大発見かもしれねぇぜ…。」
「よし、これをテーマにして論文を書こう! そして学会に発表しよう!」
「ノーベル賞はいただきだな。」
ということで、実際に論文にしてみました。

まさかの作りこみ。
もちろん内容はジョークで構成されたウソ論文ですが、
ネタの割りにはちゃんとした作りになっています。
・ フォーマットは情報処理学会の TeX テンプレートを使用。
・ 2ページの抄録形式にも関わらず、日本語と英語のアブストラクト付き。
・ しかも無駄に著者略歴付き。
・ そこそこ論文っぽい文体。
もともと、情報処理学会に論文を出そうと思って、TeX(テフと言う組版ソフト)
のテスト用に遊びで書いたものなんですが、ネタとしては意外と高いクオリティに
なったので、せっかくだから公開しておきます。
なお、以下の条件を満たす人ほど楽しめると思います。
・ ジョークの分かる人
・ 心の広い人
・ 論文を書いたり読んだりしたことのある人
・ 情報処理学会と関わりのない人
ウソ論文「カレーとラーメンの二重性について」は、pdf形式です。
以下からダウンロードできます。
興味のある方は是非!
【ジョーク論文:カレーとラーメンの二重性について】(pdf形式/60KB)
あ-あと、著者略歴のところには写真がないので、
適当に絵とか描いといて下さい。

著者らのイメージを適用した例。
普段まじめにやっているのものを、たまに少しふざけてみると面白いものです。
先生には怖くて見せられませんけどね。
工学系のジョークですが、皆さんには楽しんでもらえたかな?