自転車で東京まで行く

2005-07-29

夏である。
しかも青春の真っ只中、18の夏である。
(俺に青春も何もあったもんじゃないが)

正直、課題や部活やバイトや学校関係のことがあるので
遊んでいる暇などは本来無いはずなのだが、
「夏だからはっちゃけたい」というだけのシンプルな理由が、
俺達の間にアホ企画を打ち立てさせた。

その名も、「ザ・自転車企画」!!
(たった今考えた名前↑)

自転車に乗って東京まで行こう、というだけの企画だ。
コンセプトは、「一切計画を立てない」ということ。
本当に無計画な計画、即ち無計画計画なのだ。
(意味がわからん)


何と言うか、僕の住むところから東京までは、
直線距離で考えても70kmくらいあるのだが、
まあ所詮70kmだ。
時速70kmで行けば、1時間で着く。


友人2人を誘い、バイトと部活の休みが入っている日を狙って、
28日の朝から、それを決行することにした。

以下に、今回の企画の概要を示す。





【目的】
   ●行き当たりでばったりする。

【内容】
   ●ノリだけで東京まで行く。
   ●移動時に使っていいのは自転車と己の足のみ。
   ●地図・コンパスは使用禁止


【参加人数】
   ●俺と友人2人の合計3名

【持ち物】
   ●自転車(普通の)
   ●金
   ●携帯電話


【行程】
   ●家を出発
   ●友人2人と、それぞれの最寄の駅で合流
   ●自転車で移動、東京を見て帰る








ということで、28日の午前8時前に、家を出発。

俺が一番東京から遠いので、まず俺が
友人2人の居る町まで行かなくてはならない。
というか、まず友人に会うだけで、軽く100分ほどかかる。
音楽を聴きながら、ただ黙々と一人で走り続ける。


思ったよりも早く 最初の友人が住むところまで来れたが、
合流地点である駅がどこにあるのか分からない。
道行くお婆さんに駅の場所を聞くが、
それをたよりに走ってから十数分、
お婆さんに騙されたことに気づき、引き返す。


結局1人目の友人と合流できたのは、10時過ぎ。
2人目の友人はそこから結構近い場所に住んでいるので、
ちょっと走って、彼も仲間にすることに成功。




時刻は10時半、ようやくここに3人のパーティーが結成された。
(※プライバシー保護のため、マスケラで顔を隠しています)



そして3人で、何も考えずに走っていく。
ただそこに道があるから、その道を走っていく。




ちょっと走ったところで、素敵な名前の居酒屋を発見。
(テナント募集してますが)
僕らの旅は、今始まったばかりなのだ。



「とりあえずこっちじゃね?」的なノリだけでひたすら走る。
途中で国道に出たので、安心して道なりに走り続けた。




12時になったので、ファミレスで食事。
学生の味方、サイゼリヤに入る。
安いし、ドリンクバーあるし。
一番暑い時間帯をここでやり過ごそうという賢い作戦。
2時まで粘って体力と水分をチャージした。(居すぎ)



その後、途中でディスカウントストアに入ったり、
色々と景観を楽しんだりしながら、進んでいく。

途中で国道を進めなくなったので道を変え、
住宅地を通り、商店街を通り、また別の国道に乗って
ただひたすら走る。もうここまで来るとかなり都会っぽい。

懸念されるのは、折り返す時間だ。
走れば走るほど、帰りの距離も長くなっていく。
帰りは疲労で行きよりも時間がかかるかもしれないから、
やみくも進んでは危険だと考える。




そして夕方。5時くらいだろうか。
小岩駅に到着した。
まあ小岩って東京なんだろうが、
なんかいまいちわかりにくい。

僕らはきっかけが欲しいんだ。
この旅を終わらせるためのきっかけが!!



さらにそこからまた自転車を漕ぎ続ける。
後先考えてはいられない。
ただ道があるから、俺達は行くんだ。
ひたすら、道なりに真っ直ぐ。
俺達は走り続ける。


しかし長時間の走行に、さすがに疲労は隠せない。
そして俺達の間に会話も消えたその時!!










川で行き詰った。











ここに来て、これまでで初めてかもしれない、
進行方向に対し垂直に立ち塞がる障害物。

なんか、「もう、いいかな」 的な空気
俺達の間に流れ始める。




そこでふと近くの標識を見ると、
「葛飾区」の文字が。

おお、ここは葛飾区なのか。
葛飾区って言うと、なんか東京っぽいじゃないか。
ってことはこの川は何だ、中川とかいうやつか。




太陽をバックに水分補給をする俺。
何だか肉体的と言うよりも、
精神的な疲れがある気がする。




「俺達、本当に東京まで来たんだな…」
「ああ、そうだね…」
「自転車だけで、ホントにね…」













「帰るか…」






ということで、何もせず帰路につく俺ら。
本当に何の目的もなく東京まで来たことになる。
いや、ここまで自転車で来るという行為そのものが、
旅の目的、俺達を動かす理由だったのか。


とりあえず、行きと全く同じ道を辿って帰ることに。
しかし行きは、途中で色々と道を変えたり
細い道を通ったりしたので、時々悩んでしまう。
俺達はちゃんと帰れるのだろうかと、不安がよぎる。


ああ、そう言えばこんなところ通ったなぁとか言いながら、
帰り道を辿る俺達。道が暗くなっているのでキーポイントを
判別しにくいのだが、淡い記憶を辿っていく面白さが
そこにあった。意外にも、行きよりも帰りが楽しくなる。


しかし夜の暗闇は、行きで通った道の表情を変える。
行きの時は最高に気持ち良かった木漏れ日の道も、
夜になっては命の感じられない怖い道へと変貌を遂げる。

逃げ出すように走り抜ける俺達。


そんな感じで大変だったが、何とか大きな道に戻ることができた。
また帰りも色々と店によったりしたので、もはや
時刻は8時。このまま暗い道を走るのも気が引けたので、
夜を明かす手段を探す。


来る途中に、ネットカフェがあったことを思い出した。
そこまで行ってみると、どうやら深夜6時間を1500円で
使えるらしい。ビジネスホテルとかも無いので、
ここで夜を明かすか、という話に。


しかしまだ深夜の時間帯ではなかったので、それまで
夕食をとりながら時間をつぶすことに。




近くにあった、ガストに入ることにした。
何時までやっているのか調べてみると、24時間営業だった。


「…あれ? じゃあここで良くね?」




ファミレスで夜を明かすことに決定。
まあそういうの、よく聞く話ですしね。
こういう俺達のような人のために、
24時間営業やってるみたいなもんだしね!!



ということで、ガストで夜を乗り切ることに。

「ごゆっくりどうぞー」というマニュアル通りの店員に、
「おいおい、ごゆっくりどうぞだってよ!? どうする!?」
と、興奮気味の俺たち。

トイレにもドリンクバーにも近く、なおかつ店員の死角に
なっている絶好のポジションを陣取り、
夜乗り切り作戦を遂行する俺達。
基本的に雑談だけで、時間をやり過ごす。


雑談だけで何時間もやり過ごすなど、
仲の良い友人同士でなければできない芸当だ。
この友人たちと来て、本当に良かったと思う。
(普通は仲の良い友人以外と、こんなことはしません)


まだ未成年なので店員に追い出されたりしないかと
考えたりもしたが、そんなことはなく大丈夫だった。


夜も深くなり、時間も深夜2時近くになった。
全員で寝たりしたらさすがに追い出されるだろうけど、
誰か一人でも起きてれば大丈夫だ、
つまりパーティが全滅しなければ大丈夫だ、という考えから、
当初は誰か一人ずつ寝て体力を回復させる、
という計画を立てていたが、
意外に寝なくても大丈夫なくらい俺達はハイになっていた。


とは言え、俺は帰りは友人2人と別れた後もしばらく一人で
走らなければならないので、安全のために
90分だけ寝ておいた。そうしたら頭も体もスッキリという、
見せかけだけの元気を手に入れることができた。


90分弱の時間を寝て目を覚ますと、時刻は3時過ぎ。
目の前で友人2人がメニューを広げ、
「朝ごはん何にする?」と聞いてきた。


ファミレスで朝食とは。
かなりブルジョアだ。
まだ夜も明けてない3時なんだが。





朝向けのメニューを頼んで朝食とする。
ドリンクバーが夕食時からまだ続いているところが凄い。
これが「2食分のドリンクバーを1食分の値段で済ます裏技」だ!!
(かなり非実用的)






最初のオーダーと最後のオーダーの、この時間差。
比較的安めのガストで、3人で使った金額が5000円というのも凄い。
2食分だけど。


その後、4時くらいに店を出て、また走り出した。
睡眠時間90分というのもアレだが、
友人2人に至っては全く寝ていない。
それでも勢い良く走っていく。


行きの時は、帰りの方が疲労で時間がかかると考えていたが、
むしろ帰りの方が朝方で気持ちも良いし、ゴールがちゃんと
ある
ので、結構な早さで走っていけた。




話は変わるが、bump of chickenの新曲で、
「銀河鉄道」という歌がある。

「人は年を取る度 終わりに近付いていく」
という歌詞を、歌の終わりで
「人は年を取る度 始まりから離れていく」
と言い換えることによって、主人公の気持ちの変化を
表現しているのだが、


今の俺達の場合は、行きの時には
「始まりから離れていく怖さ」があったのに
今は「終わりに近付いていく安心感」がある。
全く逆の価値観だ。おかしなものだ。





朝方の道路。涼しいし、人も居ないので走りやすい。
ガンガン走っていく。


そして5時40分くらいか。
俺達はついに、俺達が合流した土地へと帰ってきた。




都会とは全然違う、穏やかな風景。
ああ、俺達は本当に帰ってきたんだなぁ。








だってあの思い出の「さざえさん」があるもんなぁ。







そんな感じで友人のうち1人と別れ、
もう1人の友人とも、午前6時に別れた。


その後は1人で自転車を漕いで、
7時半過ぎに帰宅。
ちょうど所要時間は24時間くらいになった。


まあこういうことは夏とかにしかできないし、
いい思い出になったと思う。

いや、待てよ。
24時間しかかからなかったということは、
いつでも実行可能ってことじゃないか…!!


そうか、夜に家を出れば、次の日の夜には帰って来れるんだ…!!










まあ、2度としないけどな…!!