アプリオブザイヤー2008表彰式(前編)

2009-02-24

2月22日の日曜日、スパイシーソフトさんが主催する
携帯アプリのコンテスト「アプリオブザイヤー2008」
の表彰式が都内のホテルにて行われた。

僕は、自分の携帯アプリ「世界はもはや遅すぎる」
が幸運にもこのコンテストに入賞したため、表彰式に出られることになった。

最優秀賞、優秀賞、入賞、新人賞とある中の「入賞」なので、
銅メダル的な位置づけだ。ある意味では無難。
正直、ユーザの評価で決まるトライアル選考しか興味が無かったため、
総合でも賞がもらえたのは儲けものだった。

表彰式は、新宿にある パークハイアット東京
というホテルにて行われるとのことだった。
式自体は夕方からだったのだが、
色々と説明があるらしく昼前に集められた。

それなりに楽しめ、色々と得るものもあったので、
以下、表彰式があった1日の記録をラフに記そうと思う。
もちろん自分が後で見返すための記録だが、アプリ開発者の人なら
共感できる話題があるかもしれない。

10:45 - 11:00 : ホテルの48階を目指す

家に届いた招待状とは別に、メールで
「説明などありますので11時にホテル48階へお集まり下さい」
といった主旨の連絡があったので、
言われた通りにホテル48階を目指す。

48階としか記されてなかったのが気になったが、
まあこんなものは行けばわかるもんだろうと思っていた。
が、それは甘い考えだった。

パークハイアット東京というホテルは、
新宿パークタワーという3つの塔の39~51階にある。
最初に建物内に入ると広いフロアがあり、方々に各階層へつながる
エレベータが置かれていた。柱に大きくそのエレベータで行ける
階数が表示されているのだが、48階に行けるエレベータは見当たらない。

受付の人に「48階に行きたいんですが…」と言うと、

「そちらの銀色の大きな柱の裏手の階段を上がって
2階に上がり、左に曲がって奥に進むと突き当たりに
専用エレベータがございます」


と、このダンジョンの攻略情報を教えてもらえた。

言われる通りに進むと高級感あふれるロビーが現れ、
たしかに突き当たりにはエレベータの扉が出現した。
だがエレベータの中に入ると階を指定するボタンが3つくらいしかない。
48のボタンは無く、最大で41しかなかった。

とりあえず41階まで上がってみる。
するとこれまた広くて綺麗なラウンジが現れた。
一応地図も置かれていたが、機能性よりもオシャレ感を優先した
デザインのため、いまいち役に立たない。

もう約束の時間までは5分しかない。
とりあえず次のエレベータを探して道なりに進んでみる。
進んで行くと、左手にカフェレストランのようなものが見えてきた。
昼前だからか、ホテルのスタッフの人が忙しそうに仕事をしている。
そこを横断するのは少々ためらわれたが、勇気を出して進む。
すると今度は本棚が置かれた読書スペースが現れた。

いい加減ワケわからんわと思ったので、引き返して
先ほどのスタッフの人に道を聞くことにした。
「48階ってどうやったら行けるんでしょうか」
と聞くと、
「48階ですか? 客室になりますが…」
と怪訝そうな顔をされる。

「表彰式で呼ばれてまして、48階に集まるように言われてるんですけど…。
えっと、スパイシーソフトさんて言う…」


と、そこまで言ったところで後ろから
「あの、スパイシーソフトの者です」
と女の人に声をかけられた。良かった。
ようやくスパイシーソフトのスタッフさんに出会えた。

「いやー、広くて迷っちゃいました」
「ですよねー、ここ難しいですよね」
などと話をしながら、48階へ行くエレベータへ案内される。
エレベータは先ほどの読書スペースからさらに先に進むと会った。

「じゃあ、48階に行けばスタッフが待っておりますので」
と言われ、一人でエレベータに乗せられる。
そしてボタンを見ると、まさかの48階のボタンがない展開。
そのエレベータでは45階までしか行けなかった。
おいおい冗談キツいぜ。まだ続くのかよこの試練は。

結局、45階で降りてまた話を聞き、また別のエレベータまで
行かなければならなかった。なんというダンジョン。
なんだか探検してるみたいで面白くはあったけど。

48階に上がるとスタッフの人が待ち構えていて、
客室のひとつに案内された。

ちなみにこの高級そうなホテル、
全体的にが多く使われたデザインになっていた。
エレベータのドアも全面鏡で、一見どこにドアがあるかわかりにくい。
エレベータ内部も四方に大きな鏡があり、デフォルトで合わせ鏡。
夜一人で乗ったら何かが起こりそうだ。

壁の至る所にも大きなガラスが張られていて、というか
壁全体の半分くらいが鏡と言っても過言ではないくらいだ。
まさに鏡の塔。ドラクエ6とかに出てきそうである。
うっかり鏡の中の自分に話しかけようものなら、
ポイズンゾンビに襲われるかもしれない。

とにかく何とか最初の集合場所にたどり着けてよかった。

11:00 - 13:30 : 説明と昼食

控え室に入ると、他の受賞者の人たちは全員揃っていた。
みんな大学生で、学年で言えばちょうど僕のひとつ上、
ひとつ下、そして同学年の3人だった。
まあそれなりのアプリを作るような人って、
携帯アプリが始まった頃に高校生だったような人が多いだろうから、
必然的にこういう年齢層になるのだろう。
これが逆に一人だけ30代とかだったら気まずくなっていただろうな。

受賞者は、最優秀賞「もののふの宇宙」を作ったKYOさん(1つ年下)、
優秀賞「アノニーク」を作った竜太郎さん(1つ上の学年)、
そして新人賞「iBOMB」を作ったAzaliaさん(同い年)。
全員男性である。
まあゲーム作ってる女性というのもなかなかいないだろうが。

KYOさんは事前に僕のサイトをチェックしていたらしい。
僕が部屋に入るなり「俺式の人ですよね」とか言うから驚いた。

その後は一人ずつ呼ばれて賞金の振込み手続きなどの説明を受け、
受賞者4人で昼食という形になった。

先ほど通りすぎたカフェで何語だかわからないメニューを渡され、
出てきた料理を適当に食べた。
普段こうした高級な場所で食事をすることは無いので、
そういう意味ではいい経験ができた。
文字通り、おいしい思いが出来たという意味だ。

僕はテーブルマナーなどろくに知らないが、
とりあえず利き手にナイフでもう片方にフォークというのが
日本における一般常識だということは知っている。
ただ、食べ物を口に運ぶのはフォークなのだから、
利き手にフォークの方が食べやすいのではないかと疑問に思う。
実際、自分としては利き手の方にフォークを持ちたい。

ところが僕は左利きなので、利き腕にフォークを持っても
「あ、あいつ逆に持ってるぞ」とは思われないのだ。
だから僕はいつも素知らぬ顔で左手にフォークを持つようにしている。
世の中は基本的に左利きに不便にできているが、
左利きが有利に働くこともあるものだ。

少々話がそれた。
食事中は、受賞者どうしで色々と話をした。
やはり同じアプリ開発者だけあって、色々と共有できる話題があった。

アプリは評価されてもソースコードが見られるわけじゃないから、
コーディングとかは超適当、みたいな人ばかりだったら
どうしようかと思っていたが、そんなことはなかった。
デザインパターンとか知ってたし、シーン遷移とかどうやってる?
みたいな話もできた。

考えてみたら、こうして同世代のゲーム作ってる人と話をする機会は
今まで自分にはなかった。貴重な経験だ。
話をしていて気づいたのは以下のような点。

・ 僕以外はみんなiアプリのみ。移植をしてたのは僕だけ
・ 「無難にできるだけ多くの環境で動かしたい」のが僕のスタンス
・ 一方みんなはむしろ「スペックできるだけ使って派手なことしたい」観がある
・ ゲーム作ってるのにゲームやらない人が多い

・ 学部の分野は様々。情報系もいたけど、教育学部の人もいた
・ みんな賞金に対しては無関心だった
・ 僕は自分の作品を断然アピールしたい派
・ その点みんなはシャイで、自分の作品はあまり見せたがらない

最優秀賞のKYOさんはなかなか面白い人だった。
ゲーム作ってるにも関わらず「ゲームあんまり面白いと思わない」と言ったり
「パケ放題じゃないから自分の携帯に自分のアプリ入れたことない」
などと言っていた。

ゲームを作る人が必ずしもゲームやるの好きとは限らないというのが、
面白い発見だった。

13:30 - 15:30 : 時間を持て余す

スパイシーソフトの社員さんから、
「式は16時からになりますので… それまで適当にブラブラしていて下さい…」
といった主旨を告げられる。

ブラブラって何だ。控え室とかないのかよ、と恐らく誰もが思ったところだが、
それを告げたWさんは2008年卒の新入社員で僕らと年も近く、
どうやっても憎めないような感じの初々しさを持った青年だったので、
「じゃあしょうがないか」という感じで僕らは許すことにした。

ここに来る前から「これ絶対待ち時間長いよなぁ」と思っていたのだが、
どうやら今回アプリゲットだけでなくマンガゲットという携帯マンガの
受賞式も同時にやるらしく、その人たちへの説明の時間があるらしい。
同時並行で説明を行うほどのスタッフが居なかったから、
先に僕らを呼んで説明をしたのだろう。

とりあえずホテル内に居場所はないので、僕ら4人はホテルを出ることにした。
寒風に吹かれながら、表彰式までの空き時間を潰すために雑談をすることにする。

「受賞者が寒風に吹かれて待たされてるって何だよ(笑)」
「せっかく高級なホテル用意してくれたのに、こういうところが対応甘いなー」

などと談笑しあう。もちろん、別に怒っているわけではない。

むしろこの時間があることで、色々と思っていることをオープンに語り合えた。
アプリに関する話はもちろん、ここにはちょっと書けないようなことまで話した。

・ アプリ登録してて一番知りたいのはダウンロード数だよね
・ アプリゲットでダウンロード数わかるようになればいいね
・ 携帯アプリユーザの年齢層が低くなっちゃうのは仕方ない
・ でも作る側としては、もっと上の世代の人にもやってもらいたい

・ 一部の人に賞金与えるのはインパクトがあるけど、 1ダウンロード1円とか細かく配るっていうのも、 クリエイターのモチベーション上げるには効果があるんじゃないか

・ 僕はユーザレビューはちゃんと見る派。悪口も参考になるし
・ けど、ユーザレビューは怖くて見れないという人もいた
・ というか、見ないようにしているという感じが強い
・ 「バグりました」だけのメールとか困るよねー


また、個人的に印象に残ったトピックが以下。

・ 多くダウンロードされるものが本当に面白いとは限らない
・ でも「ダウンロードされるもの」を作らないとランキングに反映されない
・ 結局ランキングに上がらないとダウンロードされず、遊んでもらえない

・ そうしてみんなが「ダウンロードしやすいもの」を作るようになってしまったときに、 「携帯アプリ = シンプルなワンボタンゲーム」になってしまうのが怖い


こうした話が出来ただけでも収穫はあった。
そうこうしているうちにようやく式の時間が訪れる。
長くなってきたので、ここでいったん区切ろう。
実際の表彰式編につづく。